当時、そこらで売っている安い鉈は片刃が多かった。
片刃は藪こぎや枝打ちには使えるが、薪割りには適さない。
薪を立てて垂直に刃を当てても、片側に食い込んでいってしまう。
しかも右利きを前提に作ってあるので、
左利きのろんがあにとっては非常に使いにくいものだった。
(下手な絵で申し訳ない)
というわけで両刃の鉈を探し、刃物店として有名な菊秀をのぞいてみたら
これが見つかった。
そんなに高いものじゃない。確か8,000円程度だったはず。
値段の割に鋼を軟鉄でサンドイッチした割込みという本格的なつくりだ。
角鉈ではなく剣鉈にしたのは、大きさが大型ナイフ程度なので
ナイフ的な使い方ができるんじゃないかと期待したからだ。
実際、持っている刃物の中でいちばん使用頻度が高く、愛着もある。
しかしこの鉈は薪割り用としては実は小さくて軽すぎる。
薪を割る場合、
まず木口に鉈を当てた状態をキープして少し持ち上げ、
数回打ち付けて刃を食い込ませる、
刃が充分食い込んだら鉈を振り上げてたたき割る。
鉈の重さを利用するわけで、ある程度の重量が必要なのだ。
このとき鉈が軽いと食い込みにくく、仕事がはかどらない。
そこでこの軽い剣鉈で薪割りをする時は、
薪に当てた鉈のミネをゴムハンマーで叩いて割っている。
さすがに最近はちょっと大きい鉈が欲しい気もしている。
以前、この軽さを補うために切れ味を良くしようと、
ナイフのように鋭く研いでみたことがある。
試しに枝打ちをしてみたら、確かに切れ味は良かったのだが、
太めの枝には深く食い込んで抜けなくなってしまった。
鋭角なV字なので、割り裂く力が弱い上にピッタリ挟まって動かないのだ。
しかたなく、鉈らしい刃角で「ハマグリ刃」に研ぎ直した。
今度は食い込みすぎることもなく、薪割りにも具合が良くなった。
やっぱりその刃物ごとに適した刃の付けかたがあるわけだ。
最近は剣鉈よりも大型ナイフ的な和式刃物が増えてきた。
1〜3万円もする高級品だ。
関兼常 関伝古式和鉄製錬 雷神狩猟匠・両刃
伊勢屋 狩猟刀火造剣鉈
いつかは手にしてみたい逸品だが、
薪割り用にはもったいない。
とりあえずはこのあたりが欲しい今日この頃なのだ。
ZEST 土佐是寿刀作白紙鍛造角鉈
ランキングを試しています。よろしければ1クリックどうぞ。