10穴のハーモニカ
最初にお断りしておくが、ろんがあはハーモニカが苦手である。
キャンプで楽しめる楽器ということで、
笛系の楽器を三回にわたってご紹介してきた。
しかし、
もっと「キャンプにはこれだね」っていうイメージピッタリの楽器が実はある。
それが、ハーモニカ。
キャンプサイトの夕べ。
静かに友と語り、酒を酌み交わす。
やがて気分のいい酔いに心もぬくもってきた頃、
焚き火の揺れる炎を眺めながら、思い出の懐かしいメロディーをひと節‥‥
「まいぼーにぃ、らいずおーば〜、じ・おーしゃんん〜‥‥」
なんて、ひとむかし前の西部劇のワンシーンのようなシチュエーションには、
なんといってもハーモニカだろう。
それも、いわゆる「ブルースハープ」またの呼び名を「テン・ホールズ」。
これは小学校の時に吹いたようなハーモニカではなく、
穴が10コしかない小さなハーモニカ。
フォークシンガーがギターをかき鳴らしながら、首から提げたホルダーにセットして、
むせび泣くように吹く、あのハーモニカだ。
穴は10コしかないのだが、
この穴1コを吹くと「ド」吸うと「レ」のように、2つの音が出せるから、
約3オクターブ(途中出せない音もいくつかあるが)出せる。
そして、これがテンホールズの最大の特徴なのだが、
12の調にあわせた一本がそれぞれあり、その12本を曲によって使い分けるのだ。
たとえば「C」のテンホールズはハ長調用のもので、
ドレミファソラシド〜とふけるのだが、
同時にどこの3穴を吹いても必ず「ド・ミ・ソ」が吹けるようになっている。
つまりコード(和音)「C」用のものというわけ。
プロのミュージシャンは12本のテンホールズをそろえて、
曲によって使い分けている(はずだ)。
12本もそろえるのはお金がかかるなと思うが、
実はプロが使っているようなテンホールズも一本3,000円程度。
そんなに高くないのだ。
むかしむかし、ろんがあが中学生の頃、
よしだたくろうの大ファンという親友がいたのだが、
彼がたくろうのコンサートに行った時、
エンティングでたくろうは「今日はみんな、ありがとう!」と叫びつつ、
自分の吹いていたテンホールズを客席に向かって投げ入れたという。
運良くそれをキャッチした親友は、
後日、「オレの命の次に大事な宝物だ」といって、ろんがあに見せてくれた。
たばこ臭かった。これがたくろうの匂いかと思った。
楽器の値段が高くないので、そんなファンサービスにも使えたのだろう。
(この親友は何年も音信不通のあと突然現れるという風来坊のような男だったが、
約20年ほど前に急病であっけなく亡くなってしまった。
亡くなったことをろんがあが知ったのは、何年も後のことだった。親友なのに)
とにかく、
テンホールズは誰でも簡単に楽しめて、プロと同じ楽器も手軽に入手できる。
小さいボディを両手で包み込んで、手の平の開け閉めでフワワワ〜と
ビブラートを付けて一吹きすれば、
「ブルースハープ」というだけに、とたんにブルージーな世界。
あなたも、
一本ポケットにつっこんで、キャンプに連れて行ってみては?
ろんがあにはちょっとホロ苦くて、ちょっと苦手なんですけどね。
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